【今季大注目】サッスオーロのポジショナルプレー【第5節サッスオーロ対エンポリ】

記念すべき最初のマッチレポは、個人的に今季大注目のサッスオーロにした。

サッスオーロは今季からロベルト・デ・ゼルビが監督として就任。昨季はベネヴェントを率いてシーズン途中で解任されてしまった監督だが、今季開幕してからの数試合ですでにイタリア版グアルディオラなんて呼び方をする声も。デ・ゼルビのサッスオーロはポジショナルプレーと呼ばれる、ピッチ上で試合を優位に進めるために正しいポジショニングを取り続けることを原則とするサッカーを取り入れており、見事に機能させている。

この最先端とされているポジショナルプレー、グアルディオラを筆頭にヨーロッパ各リーグで取り入れるチームが増えてきたが、セリエAではサッリ監督のナポリくらいしか話題にならず。実はモンテッラが大型補強をした昨季のミランで取り入れようとしたが、みなさんご存じのとおり完璧に失敗した。このように、その原理原則の導入を試みても肝心の結果が出ないチームが多くある中、今季ここまでのサッスオーロは見事に結果も残している。



・サイドバックの中盤化、センシの躍動

試合開始20秒で先制されたサッスオーロ。初期配置ではサッスオーロのサイドバック(リローラとロジェリオ)とエンポリのアンカー(カペッツィ)がフリーになりやすくなっているが、ポジショニングを少し変化させるだけで、相手にとってより危険な選手・スペースをフリーにすることができる。

左サイドバックのロジェリオが中に絞り中盤化。すると、センシとマッチアップしていたアックアがそのロジェリオに対応。これだけの動きで、ハーフスペースにポジショニングするセンシをフリーにすることができた。カペッツィは下がり気味のボアテングかセンシ、どちらをケアするか対応を迫られる。

さらにセンシをハーフスペースでフリーにさせることによって、そこからの連動した攻撃というのも、もちろん持っている。

ハーフスペースで受けたセンシが内側にドリブルで切り込んでいくと、ボアテングがCB陣を意識を引っ張り、ダンカンがエリア内へ入り、その動きにヴェセリもつられる。そうするとサッスオーロでいちばん危険な選手であるベラルディがフリーとなった。いずれものシーンもゴールにはならなかったが、そうした見事にチームとしてデザインされた攻撃で前半のうちに同点にすることができた。

一度離れてから再び入っていくボアテングの動き

右サイドからの攻撃。ボアテングはマイエッタを連れてエリア内から離れていく。

ディ・フランチェスコが斜めに走ることで今度はニアゾーンからシルベストレを連れ出す。

がら空きになったニアゾーンにボアテングが再び入り込んで、同点弾。これだけの動きで相手のポジションを動かし、簡単にゴールへ結びつけてしまった。

・CB間の距離

エンポリのシステムが4-3-1-2なので、被カウンター時に中央3つのレーンでカウンターを完結させられるのが一番怖いわけだが、中央を締めることはある程度出来ていたと思う。しかし、素晴らしい攻撃を披露する一方、守備ではまだ雑さが目立った。サッスオーロの2CBはエンポリの2トップと数的均衡状態だが、積極的につぶしに出ていく。

左サイドからの攻撃で、2トップの一角であるカプートはボールに寄って行くが、CBフェラーリは何の躊躇もなくついていく。もう一人のCBマルロンはスライドするわけでもないので、CB間の距離が開き、フェラーリの裏に危険なスペースができる。エンポリはザイツなどがそのスペースに飛び込むことで、チャンスをつくる。その動きについていったロカテッリが空けたスペースに、またクルニッチやラ・グミーナが入り込み、彼らにマイナスのクロスが入ってエンポリは決定機をつくりだした。

・多様なシステム変更

今季サッスオーロは試合によってシステムを変えているが、試合中も展開によって変えてくる可変式フォーメーションだ。コーナーキックから逆転に成功したあと、よりポゼッションを安定させるためにまずサリーダ・ラボルピアーナと呼ばれるロカテッリを最終ラインに取り込む動きをみせた。

しかしエンポリに退場者(ザイツ)がでるとすかさず4-3-3へと戻した。この辺は展開によって柔軟にフォーメーションを変え、それを選手たちが理解しながらしっかりと表現できている。試合は85分のディ・フランチェスコのゴールで勝負あり。3-1で勝利して、また勝ち点3を手に入れた。

おわりに

今季のサッスオーロは本当に面白い。サッリがチェルシーへと去ったいま、その美しいサッカーの代わりを務めるのはサッスオーロかもしれない。また、結果も出てるのが本当に素晴らしいと思う。面白いサッカーを志していても、セリエAで結果を出せずに無能監督のレッテルをはられてきた数多くの監督の悲しみを思いながら、サッスオーロの快進撃を応援していきたいと思う。

コメント

  1. オフ より:

    毎回楽しく読ませてもらっています
    ポジショナルプレーの冒頭の際に昨季のモンテッラのミランが取り入れようとして失敗したとありましたがなぜ失敗したのか要因がわかるなら知りたいです。
    無茶な質問すいません

    • シミズ より:

      オフさん
      いつもありがとうございます。
      失敗した要因は複数考えられると思いますが、ここでは簡単に3つ挙げたいと思います。
      1.新加入選手ばかりだったこと
      ポジショナルプレーは選手たちの相互作用によってピッチ上に様々な優位を作り出すのですが、そもそもが新しい顔ぶればかりで、ポジショナルプレーを取り入れる以前のもっとまえの段階で選手たちの相互理解ができていませんでした。
      2.継続して取り組めなかった
      シーズンへの入り方は悪くなかったのですが、第3節のラツィオ戦で大敗して以降、サポーターの3バックを求める声が大きくなり、かつモンテッラもすぐに3バックを取り入れたため、1であげた理由に加えて選手の並びまで新しくしてしまったので、そこからまた最初から取り組まなければならなくなりました。さらに結果が出ないので、ビッククラブとの対戦が続く日程の時点で、モンテッラはポジショナルプレーを取り入れることをあきらめました。
      3.モンテッラの手腕
      結局のところ、結果論ではここがポイントだったのかなと痛感しました。ポジショナルプレーをチームに落とし込む能力に欠けており、並行して結果も出さなければならないという部分でも、少し考えが甘かったように感じます。

      モンテッラの目指すチーム像自体はとても期待できるものでしたが、様々な原因でそれをチームに落とし込むことはできず、失敗に終わってしまいました。