【圧倒的】バイエルンを翻弄したアヤックスの王様ツィエク【第2節バイエルン対アヤックス】

このブログをはじめるにあたって、セリエAはもちろん、他リーグ・クラブの試合のことも書きたいと思っていたが、そう思わせてくれたクラブのひとつがアヤックスだ。グアルディオラがバイエルンの指揮官だった当時、その下でリザーブチームの監督をしていたエリック・テン・ハーグがアヤックスの監督になってからはじめて試合を観たのは、今季CLプレーオフのスタンダール戦だった。アヤックス伝統の4-3-3ではなく、4-2-3-1で戦っていたのにまず驚いた。そしてしっかりと設計されたビルドアップ、自由にポジションチェンジを繰り返し見事なコンビネーションで崩していく攻撃の選手たち、ほとんどが20歳前後で構成された若き才能あふれるチーム。観ていてとても楽しいチームである。そんなアヤックスは第一節AEKアテネ戦を3-0で勝利して、第2節はアウェーでのバイエルン・ミュンヘン。真のメガクラブ相手にどこまでできるか注目だった。

対するバイエルンは今季からニコ・コヴァチが監督に。しかしリーグ戦直近2試合で勝利できず、不穏な空気が流れている。主力の入れ替わりもあまりなく新鮮味に欠ける(と個人的には思っている)ので、今季もあまり試合を観ていないからどういうチームになっているのか注目していた。



・15分間圧倒するバイエルン

立ち上がり15分間は前から激しく来るバイエルン相手にうまくボールをつなげなかったアヤックス。試合開始4分でセットプレーからの流れでロッベンのクロスにフンメルスが合わせてバイエルン先制。バイエルンのビルドアップに対して、マルティネスにファン・デ・ベークがつく形だが、ツィエクはフンメルスとアラバのふたりをケアしなければならず、なおかつ攻撃時にツィエクは中央のレーンへと自由に動くので、アラバを起点にビルドアップされるシーンが目立った。

さらに左サイドからの攻撃に対して、レヴァンドフスキが流れてくることでデ・リフトを引っ張り出し、ゴール前ではウェーバーとミュラーの一対一という状況もつくられる。力の差を見せつけられる15分間だった。シェーネとブリントが中央にポジショニングして、ミュラーの意識を向けさせることで、最終ラインではデ・リフトとウェーバーがレヴァンドフスキに対して2対1の状況をつくりだし、ビルドアップの安定を試みるが、それでもバイエルンのプレスに対して苦しむアヤックス。しかし徐々に攻撃面でツィエクが存在感を見せ始める。

・鍵を握るツィエクのプレーとファン・デ・ベークのダイアゴナルラン

自由に動くツィエクはほぼ逆サイドまで流れて組み立てに参加。ファン・デ・ベークがCBとSBの間をダイアゴナルに動き出すと、その動きにつられてツィエクのいたポジションまで上がっているマズラウィがフリーになれる。そうするとツィエクからマズラウィへとボールが出てくる。

さらに右サイドで密集させてからネレスが内側に絞りキミッヒを引っ張り、ツィエクからサイドのスペースへ走るタグリアフィコへサイドチェンジという攻撃も。アヤックスは第1節のAEKアテネ戦もタグリアフィコが二得点したように、サイドバックの使い方が非常にうまい。

キーパーから繋ごうとしてもバイエルンが前から取りに来るため、何度かそのまま前線へのフィードを試したオナナ。これが意外とおさめることができたり、中盤の戻りが遅いバイエルン相手にセカンドボールを拾えたりと、バイエルンの前プレを回避することができてきた。

前からくるバイエルンに対してオナナからツィエクへフィード。この試合、バイエルンはアラバのところを狙われ続けた。

ツィエクがおさめると、局面で3対2が作られている。リベリーがプレスをかけてくるので、ボールはマズラウィへ。

すると、ここでまたファン・デ・ビークがダイアゴナルラン。フンメルスを引っ張り出して、バイエルンの中央の枚数を減らすとともに、中へのパスコースを確保。

マズラウィは斜めにドリブル。リベリーとアラバは簡単に抜かれてしまう。すると、もうほぼ2対1のような状況なので、タディッチへボールを渡してマズラウィはエリア内に進入。

タディッチに渡った瞬間にボアテングは潰しにいくかと思いきや、その場で立ち止まり対応しようとする。結果、裏ががら空きになりマズラウィへボールが出て、そのままゴール。アヤックスが前半のうちに同点に追いついた。調子の悪いチームは決まってこうした局面での対応が悪く、やはりバイエルンもなかなか勝てない理由が詰まった失点シーンだった。アヤックスは格下が相手になるリーグ戦では、キーパーから直接前線へフィードを送ることなど皆無に等しいのだが、バイエルン相手に柔軟性をみせて見事に得点を奪った。エリック・テン・ハーグのアヤックスはチームの伝統を維持しつつ、さらに柔軟性を手に入れたチームになっている。

その後試合はオープンな展開に。バイエルンは両サイドのロッベンとリベリーの仕掛けでチャンスをつくり、アヤックスはツィエクからチャンスをつくりだす。後半開始早々、アヤックスに何回か決定機があったが決めきれず。バイエルンもアヤックスの集中したディフェンスを最後まで崩せず、1-1のドローに終わった。メガクラブであるバイエルン相手に、アヤックスが勝ち切れなかった、というような印象が残るくらい、アヤックスは素晴らしく、バイエルンの守備の局面での対応の甘さが目立った。そしてこの試合のツィエクのプレーは、間違いなくワールドクラスだった。

・おわりに

バイエルンが思っていた以上にぬるかった。特にボアテングとアラバは甘すぎた。局面の甘さを修正しないことには今後も取りこぼしが増えそう。アヤックスは素晴らしいパフォーマンスだったし、いつも以上にディフェンス面での集中力が保てていた。相手に合わせて柔軟に戦えることを示したアヤックスは、これで現時点でグループ首位。久しぶりに戻ってきたCLの舞台で、決勝トーナメントに進出できるか楽しみだ。

コメント

  1. インザーギフリーク より:

    面白かったですよね。
    自分があまりバイエルン好きじゃないのもあったかもしれませんが…笑
    自分みたいなライト層は、右サイドをたくさん使ってたなー。くらいの印象で見てましたが、やっぱりシミズさんにかかると論理的で分析的になりますね。
    今後ともミラン以外の試合記事も楽しみにしてます。

    • シミズ より:

      インザーギフリークさん
      とても面白かったです!バイエルンお好きじゃないんですね~、理由が気になります笑
      うおー、ありがとうございます。僕もまだまだ勉強しながらって感じですが、少しでも楽しんでいただけるような記事を書いていきたいと思います!