【新システム】アンチェロッティ・ナポリの4-4-2【第6節ナポリ対パルマ】

昨季までサッリが率いていたナポリは、その異質で攻撃的なスタイルで世界中のサッカーファンを魅了した。しかし国内リーグではユベントスの連覇を止めることはできず、ヨーロッパの舞台でも目立った結果は残せなかった。そしてたびたび問題視されたのが、ターンオーバーをほとんど使用しないことだった。その異質なシステムにおいて、選手間の連携の問題、選手層の問題は常に付きまとっていた。

今季からナポリの監督としてイタリアサッカー界に復帰したカルロ・アンチェロッティ。大きな成功をおさめた監督や、特殊な戦術のもとで組織化されたチームの監督の後任というのはとても難しい仕事ではあるが、アンチェロッティにはその心配はいらない。彼はここ数年だけでも、モウリーニョやグアルディオラの後を継いで、最低限の結果は残している。今季のナポリにおいても、一気にチームを変えることはせず、サッリが残したものをうまく継承しながら、違和感なく新スタイルへと移行しつつある。



・新システム4-4-2、あるいは4-2-4

パルマ戦のナポリのシステムは4-4-2。ここ数年のナポリにはあまり馴染みのないフォーメーションだ。ボール保持時、SHのファビアンは内側のレーンに入り、より高い位置を取る。インシーニェはある程度自由にライン間でボールを受けて、そこから攻撃にスイッチを入れる。インシーニェのポジショニングによってジエリンスキはサイドで幅を取ったり、ファビアンのように内側のレーンに高い位置を取る。ナポリの選手が中央3レーンに人数をかけているため、パルマの最終ラインと中盤は内側に絞られ、マルキュイとマリオ・ルイがフリーになりやすくなるため、そこがビルドアップの安定所となる。基本的にボールを保持する戦い方は変わらないので、パルマの選手を押し込むことによって被カウンター対策にもなりえる。あとはナポリの選手の運動量によってカバーできるところが多いのも強みだ。

先制点につながるシーンでは、はっきりと4-2-4のような形になっていた。ファビアンが間で受けようとして、コントロールミスによってボールを奪われてしまったが、すぐにアラン-ファビアン-マルキュイの三人で囲い込んでボールを奪い、それが得点につながった。

・4-4-2の利点

1.守備のバランス安定

4-4-2システムでは、まず守備のバランスが良くなる。ボールを保持されたときにブロックを作りやすくなるため、ディフェンス面での安定が期待できる。第2節ミラン戦では2失点、今季ここまでで唯一負けたサンプドリア戦では3失点とまだまだディフェンス面での不安が残る中、その解決策のひとつとしてオプションになりえるかもしれない。

2.ターンオーバーが容易

パルマ戦ではハムシクやカジェホンは出場しなかったが、このシステムと戦い方であればターンオーバーが容易になってくる。この試合では、インシーニェと交代でメルテンス、ジエリンスキと交代でヴェルディが、それぞれそのままのポジションで入っている。カジェホンもファビアンの位置に違和感なく入れるだろう。そして何より、明確なレジスタを必要としないこのシステムでは、”脱ハムシク”が可能になる。ターンオーバーが容易になることによって、シーズン終盤までより安定したパフォーマンスが期待できる。

3.攻撃システム自体は変わらず

フォーメーション上は4-4-2だが、ボール保持時はSHのポジショニングによって4-2-4のような形になり、前線3枚にジエリンスキがうまく絡む形は変わらない。そしてインシーニェが自由に動き、そこでスイッチを入れるやり方ももちろん継承している。なので選手たちは、そこまで違和感なく新システムに適応できると思われる。

つまり、サッリ時代の戦い方をうまいこと継承しつつ、シーズン始まって1か月経とうかというところで、違和感なく新システムを導入する。それによって攻守にわたって、または1シーズンにわたって、安定したパフォーマンスを発揮できるチームをつくっていく。サッリの後任ということで最初は躓くのではないかというような予想もあったが、ここまで5勝1敗と結果は出している。やはりアンチェロッティは名将だ。

・おわりに

もちろんこの4-4-2がメイン・システムとなるかはわからない。ほかの解決策を見つけるかもしれないし、4-3-3との兼用ももちろん可能性としては高い。ただ、どんなシステムを取り入れたとしても、アンチェロッティならば問題なくチームをつくっていくのだろう。次節、ナポリはユベントスとの首位決戦だ。開幕6連勝ともはや敵なしといった感じのユベントス相手に、ナポリがどこまでやれるのか非常に楽しみだ。ユベントスを指揮するのは、アンチェロッティが国外で監督をしている間、イタリア国内でチームの安定という意味でも最も評価をあげたアッレグリ。セリエファンとしては、できるだけユベントスを苦しめる展開となれば面白いのだが果たして。