【注目試合】積極的ディフェンシブな試合となったセリエA好カード【第9節サンプドリア対サッスオーロ】

サンプドリアはジャンパオロ監督のもとで近年安定した成績を残している。今季も開幕戦こそウディネーゼに敗れたものの、ナポリに勝利するなどここまで4勝2分2敗とある程度結果を残している。毎年主要メンバーが引き抜かれながらも、ジャンパオロの4-3-1-2にフィットする選手を見つけてくるスカウト陣も素晴らしく、そしてブレずに4-3-1-2にこだわりつづけて、結果も残しているジャンパオロももちろん素晴らしい。

サッスオーロは、このブログではほぼ毎試合取り上げているので、デ・ゼルビ監督のもと素晴らしいサッカーをしているのはもはや説明はいらないかもしれない。しかし第7節でミランに大敗したあとナポリにも完敗、戦力的に上回るクラブとの対戦とはいっても徐々に各チームに対策され始めており、自慢の得点力も湿ってきている。ここからはデ・ゼルビ監督のサッスオーロがより高いレベルに行くための、今季最初の関門かもしれない。

今季セリエAで要注目のチーム同士の好カードは、両チームの素晴らしいディフェンスによって膠着した試合となった。



・サンプドリアのディフェンス

サンプドリアのシステムはジャンパオロお得意の4-3-1-2で、サッスオーロは相手チームが2トップでくる場合には基本3-4-3となる。サッスオーロは後方から丁寧に繋いでいくビルドアップ。両WBが幅取り役で、両WGがそれぞれハーフスペースにポジショニング。チーム全体のポジショナルな動きによってボールを進めていくのが、サッスオーロのビルドアップだ。このビルドアップに対して、前節ナポリはコンパクトな中央圧縮のブロックを形成し、WBへとボールが渡るとスイッチを入れてチーム全体でスライドする守り方でサッスオーロを苦しめた。

(コンパクトな4-4-2で中→中を許さず、両サイドのCBを経由させWBに渡ると一気にスライドして囲い込み、ボールを前に運ばせなかったナポリ)

ナポリはリバプール戦で勝利をおさめたが、コンディション面で不安があるためインシーニェやカジェホン、ハムシクやアランを休ませるターンオ...

中央ハーフスペースを完璧に閉じられてWBへ誘い込まれてしまったナポリ戦で、有効な解決策を見つけることができなかったサッスオーロは、サンプドリアにも同じようにやられてしまう。

マニャーニからのビルドアップに対して、サンプドリアは2トップ+トップ下のラミレスで中盤へのパスコースを消して両サイドのCBへと誘導。ちなみにマニャーニからフリーになれているWBへぴたりとフィードができるのなら攻撃の幅がかなり広がるが、残念ながら精度が悪く、ナポリ戦の後半含めこの試合も何度か試してはいるが、ほとんど通らなかった。

ボールをサイドのCBであるフェラーリへ出させると、2トップのうち片方であるデフレルが横へのコースを切りながらプレス。それに連動してWBのディ・フランチェスコに中盤右のプラートがマニャネッリへのコースをきりながら猛プレス、降りてくるジュリチッチにはアンカーのエクダル、マニャネッリにはトップ下のラミレスがそれぞれ付くと、サイドで密集状態が作られ、ボールをうまく前に運べず引っかかることが多くなった。それでもこの状況を打開するためのプレーはいくつか見られた。

・サッスオーロの対応パターン

1.一枚剥がし&スライドの遅れを利用

スローインから最終ラインまでボールを下げたシーン。フェラーリはマニャーニを経由することなくマルロンへ展開。

マルロンに展開されるとクアリャレッラはブラビアへのコースを消しながらプレス。マルロンは縦へドリブルで運び、クアリャレッラを剥がすことを試みる。

マルロンが少し剥がすとすぐにマニャネッリを経由させ、素早く逆サイドに展開。ジュリチッチ→ディ・フランチェスコをスペースに走らせて、サイドで1対1の状況を作り出せた。マルロンの剥がしからスライドの遅れを利用した素早い展開で打開しようとした。

2.ウイングバック飛ばし

次にWBを経由せず、フェラーリからサイドに流れてくるババカルをポストに狙うパターン。ただ、ババカルはうまく収めることができずにこれはうまくいかなかった。

自陣から細かくパスを繋いでいきたいサッスオーロだが、なにがなんでもそうするわけではなく、もちろん柔軟性は持ち合わせている。目的はボールを前に進めることなので、サッスオーロでよく見られる攻撃パターンとして、ハーフスペースでフリーになれる選手がいた場合は当然その選手を使って前進していく、というのがチーム全体に意識づけられている。そのハーフスペースをうまく使わせもらえてないのが現状の課題。

3.個の質で無理矢理にでも突破

これもプレスが少し甘くなったのを狙い、ディ・フランチェスコとジュリチッチというテクニックに優れた選手のワンツーによって突破してしまおうというパターン。

突破してしまうとディ・フランチェスコが斜めに切り込むことで、逆サイドのリローラを活かすことができる。これが前半でいちばんまともに作り出したチャンスシーンだったかもしれない。

様々なパターンで対応しようとしたサッスオーロだったが、どれも再現性はそれほど高くなく、サンプドリアの組織的なディフェンスに苦しめられていた。

・サッスオーロのディフェンス

サンプドリアのディフェンスに苦しめられたサッスオーロだったが、サッスオーロも組織的なプレッシングによってサンプドリアを苦しめることができていた。後方からのビルドアップ時、基本はババカルとベラルディがそれぞれ縦へのコースを消しながらCBへとプレス&エクダルのケアを担当。サンプドリアの中盤にはジュリチッチとブラビアがマークについて対応。サッスオーロもサンプドリアのビルドアップをSBへと誘導して囲い込み。サンプドリアもなかなか繋いで前進させることができなかった。

ゴールキーパーからのビルドアップ時も完全にチームとして連動して、サイドでボールを狩れるように追い込んでいく素晴らしいプレッシング。サンプドリアもなかなかうまく運べず、サッスオーロのミスやロングボールに頼ることとなった。

セリエAの好カード、サンプドリア対サッスオーロはお互いの素晴らしい守備組織を最後まで攻撃面で崩すことができずに、結局両チーム点が奪えず。後半終盤はどちらも引き分けでもOK感が出てしまい、そのまま試合終了。0-0で勝ち点1を分け合う形となった。

・おわりに

お互いのプレッシングの質が素晴らしく、ディフェンシブな試合だったが、積極的なディフェンシブな試合と呼べる面白い試合だった。サンプドリアは今季リーグ戦での失点数の少なさがわかる試合となった。サッスオーロも素晴らしかったが、欲を言えばボールを奪った後のポジティブトランジションの質をどうにかしたい。今はボールを奪った後ボールポゼッションへと移行する傾向にあるが、ナポリ戦、サンプドリア戦と対策された相手に対してセットした状態からなかなかチャンスを作り出すことができていない。セットした状態からWBに誘い出されてからの崩し方と、ポジティブトランジションの改善。ここをどう乗り越えるかが、サッスオーロの今後数試合における注目ポイントだ。