【新システム】ミランの4-4-2は問題の解決策となれるか【第10節ミラン対サンプドリア】

ミランはミラノ・ダービーに敗れたあと、ヨーロッパリーグのべティス戦もホームで敗戦。もちろん試合の結果もそうだが、ガットゥーゾ監督の采配にも疑問符がつく連敗となっている。そこで機能不全に陥っている4-3-3をいったんやめて、4-4-2を採用。ここから立て直しを図る。

サンプドリアは今季ここまで9試合で失点4と安定した守備を誇っており、前節もサッスオーロとハイレベルなディフェンシブな試合を演じた。ジャンパオロは4-3-1-2にとことんこだわる監督だが、4-4-2にシステム変更したミラン相手にどのように戦うのか注目だった。

サンプドリアの出来の悪さもあって、試合自体は非常に残念な内容だったが、ミランの4-4-2の可能性を探るにはいい試合となった。



・サンプドリアの弱点を突くミラン

ミランは4-4-2になっても後方から丁寧に繋いでいく姿勢は変わらない。それに対してサンプドリアは前からプレスをかけにいく。ボールがサイドバックにわたるとスイッチを入れ、中盤のリネティとプラートがプレスをかけにいき、連動してサイドバックもウイングへとプレス。サイド追い込みでボールを奪ういつものスタイルだ。このプレッシングは最初の数分間こそ機能していたが、徐々に寄せが甘くなり、機能しなくなる。

4-3-1-2の弱点はサイドの枚数が圧倒的に少ないことだ。さらに相手が2トップだった場合、CBと相手FWが数的同数になってしまうので、状況によってはサイドバックがある程度絞らなければならない。攻撃はもちろん中央3レーンで完結させることを目指しているので、ネガティブトランジション後にサイドに展開され、そこからさらにサイドチェンジをされるとスライドが圧倒的に間に合わない。おそらくそれを見越して、序盤からミランは意図的にサイドチェンジを多用していた。やはり試合前の準備という点では、ミランはそこまで悪くない気がする。

(プレスが甘くなるとミランの選手たちはサイドチェンジでプレスを回避。スライドが間に合わないサンプドリア相手に一気に展開してチャンスを作ることを試みた)

・理想的な得点のミラン

・1点目

上記のようにサンプドリアの弱点を突くミランは、最終ラインで左右に散らしながらポゼッション。サンプドリアはスライドが遅れて、ミランのサイドバックにプレスがかからないようになる。

完全にフリーでボールを持てるカラブリアからスソの裏抜け。ミランのいちばんの武器であるスソからのクロスは、イグアインと違ってエリア内で勝負できるクトローネと相性抜群。昨季も何度も観たこの形でミランが先制。ちなみにイグアインはエリアの外で待って中盤の飛び込むスペースを空けるタイプなので、スソからのクロスと相性はそんなに良くない。この問題は昨季カリニッチがワントップに入った時に生じた問題と同タイプだ。つまり、スペースを空けておくイグアインとエリア内で勝負できるクトローネの2トップはとても相性が良いと思われる。

・2点目

2失点したあとの同点ゴールも同じで、左右に散らすポゼッションからビリアを経由する中→外で完全にスライドが遅れるサンプドリア。またスソが余裕をもってボールを持つことができる。

サンプドリアのDFはクトローネとイグアインの動きに引っ張られて、逆サイドのラクサールがフリー。

イグアインはエリアの外で受ける。クトローネはエリア内でDFを引き付ける。ラクサールが頭でイグアインに落とすと、イグアインとクトローネが狭いエリアでワンツー。

抜け出したイグアインが決めて同点。ポゼッションからスソのサイドチェンジ、イグアインとクトローネの相互作用によって生まれたゴールで、ミランがいちばんやりたい形で得点が決まった。この点の取り方は非常に理想的で、素晴らしかった。

しかし、相手のプレスが緩い状態でのミランの攻撃は今季はもともと悪くなく、アタッキングサードの崩しなども悪くない。問題なのは、これがしっかりと連動してプレスをかけてくるチーム相手に対しては一気に攻め手を失うことだ。そこは前半の数分間だけで判断することはできず、いまだ不安が残るところだ。

・ミランの失点

サンプドリアの同点ゴールはとりあえずはクアリャレッラの絶妙なターンで勝負ありという感じだった。ただ気になったのは、ミランの選手たちの戻りの遅さ。サポナーラに簡単にかわされたカラブリアの対応なども気になるが、もしそこでサポナーラにシュートを打たせなかったとしても、上がってくるプラートは完全フリーだったので、失点した可能性は非常に高い。明らかなピンチなのだから、全力で戻るくらいの気持ちは見せてほしかったが・・・。

2失点目はライン間の距離の悪さと、最終ラインのデコボコ感が目立つ。ディフェンス面での整備は、4-4-2になったからといっていきなり変わることはなかった。

そしてディフェンス面での整備は、結局4-3-3ではできなかったので、4-4-2ではしっかりと修正していけるのか不安だ。4-4-2になってよかったことは、4-3-3の問題点であったクトローネとイグアインの同時期用ができない点とビリアの両脇を狙われ続けていたことを、とりあえず表面上は解決できたことだ。ディフェンス面では、根本的な解決にはなっていないから、おそらくまた新たな問題点が出てくるだろう。

試合は後半スソが逆転のゴールを決めて、ミランがとりあえずはこのシーソーゲームを制した。

・おわりに

システム変更は決して万能薬ではない。根本的な問題解決をしなければ、より高いレベルの相手と試合をするときに新たな弱点を突かれ、その攻略法がセリエ全体に広まっていく。しかし、4-4-2にしていちばん良い点はやはりクトローネとイグアインの共存だろう。毎試合失点してても、それ以上のゴールを決めれば試合には勝てる。試合に勝っていく中で、4-4-2の組織構築を進めていければいちばん理想なのだが果たしてミランはできるのか。誤魔化しながら戦うであろうジェノア戦、ウディネーゼ戦に注目していきたい。

コメント

  1. YT より:

    更新ありがとうございます。
    ミランの良い所も悪い所もたくさん見えた、ショーケースのような試合でした。
    ビリアの両脇の問題は、運動量が多いラクサ―ルを左SHに起用している辺りに監督もネックと認識していたことが伺えました。
    4-4-2を継続するならここがボナヴェントゥラやチャルハノールに変わった場合にどうなるのかにも注目しています。

    個人的には、4-3-3の時の左サイドの機能性(ボナヴェンとチャルハの補完性)が気になっていたので、ラクサ―ルが絡んで得点が生まれたのは選択肢が増える意味でも良かったのかなと。

    クトローネは僕もどんどん好きになってますねー(ユニ買おう)。
    スタメンで観れる機会が増えるのは嬉しい。
    ですが、控えが薄すぎるかなー。
    ボリーニをCFと計算するにしても、1枚足りない。
    そこにカスティジェホを加えて考えて、4-2-3-1に近い形も考えているのかな。
    それともプリマから上げるのか。

    ミランでのアンドレ・シウバを諦められない僕からすると歯がゆい感じがします・・

    • シミズ より:

      YTさん
      ショーケース、まさにそんな感じの試合でした。
      チャルハノールとボナベントゥーラのコンディションの問題もあったのかもしれませんが、左SHでのラクサールの起用は、攻撃面でも縦に仕掛けられる唯一の選手として貴重ですね。チャルハノールはサイドチェンジのパスを出すことができる選手ですが、ロドリゲスも両足で展開できるので、対戦相手や試合展開によってオプションを使い分けることができていいですね。どのように組み込まれるかも含めて楽しみです。

      個人的にはイグアイン以上に、クトローネはその役割をこなせる選手がいないので貴重だと思ってます。イグアインの場合もちろん質は下がりますが、大枠で考えるとタスクを限定させれば他の選手でも機能させられなくもないかなあと。

      アンドレ・シウバ、帰ってきそうにはないですね・・・。